補綴(ほてつ)歯科では、歯の欠損・欠如に対して、生体に調和した人工材料を加工して口腔内に適用し、疾患・障害・機能の回復・改善と咬合の保全をはかることを目的に治療を行います。クラウンやブリッジ、入れ歯などの人工物で補います。
患者様の状態に応じて的確な判断が必要とされるだけでなく、個別の調整は慎重さと微妙な加減を要求されるため、充分な時間と回数を重ねて丁寧な調整を行っていきます。
虫歯が神経まで達してしまい、歯冠が蝕まれた場合はその部分を削り取り、神経を除去し、薬で治療します。その後、歯根の部分を利用して金属などで土台を建てます。そして、その土台の上に金属やセラミックス(陶器)でできた人工の歯冠(クラウン)をかぶせます。
クラウン内面を強化セラミックで製作し、その上にセラミックを築盛して製作します。
金属を全く使わないので、透明感に優れ、最も天然の歯に近い色調を回復することができ歯肉も黒ずむことはありません。
また土台に金属でなく、グラスファイバーを用いた白い土台を使うことが一般的で、金属アレルギーの方に最適です。
通常、保険のきかない差し歯がこれにあたります。
クラウンの内面を金合金で製作し、その上に陶材を1000℃以上の高温で焼き付けて製作します。
内面に金属を使用していますので、透明感などはオールセラミッククラウンよりは少し劣りますが、十分天然の歯に近い色調が回復できます。
多数歯連結やブリッジ、アタッチメントを付けるなど様々な利点があります。
非常に強化したプラスチックで製作します。色調、強度ともに保険のプラスチックに比べ優れています。
症例により金属で補強する場合もあります。
オールセラミッククラウン、陶材焼付冠などと比較すると透明感や光沢、色調の変化にやや劣ります。
金とプラチナの合金で製作します。
適合性に優れていますので、クラウンと歯の境目から虫歯になりにくいのが特徴です。
適度な硬さとしなりを持っているために、噛み合っている自分の歯をすり減らすことが少ないので奥歯への使用に適しています。
強化プラスチックで製作した詰め物です。
金属を使用しないために歯との一体感に優れます。
また金属色を呈してしないためにお口の中が明るく健康的に見えます。
外から見える部分だけ、プラスチックを焼き付けたクラウンです。咬む面は金属です。
糸切り歯までの前歯であれば保険がききますが、それより後ろの奥歯には保険がききません。
長年使用するとプラスチックの部分が変色したり、すり減ることがあります。
保険の差し歯、詰め物です。金銀パラジウム合金でできています。
機能的には問題はありませんが、人によっては冠や詰め物自体が黒く変色することや、クラウン周辺の歯肉やインレーの周辺の歯質が黒く見える場合もあり、お口の中が暗く見える傾向があります。
またパラジウムに金属アレルギー反応を起こす方もいます。
抜けた歯を放置していると、口内環境が変化し、より長期にわたる広範な治療が必要になることがあります。
例えば第一大臼歯は歯列の中央の位置にあり,この部分の咬む力は約60Kgにも達することが知られています。この力強い歯がなくなると、咀嚼力が低下し、徐々に反対側の歯が出てきます。また、何もなくなったスペースに隣の歯が倒れこんできます。すると歯並びが悪くなり、咬合に異常がおこるようになります。
ブリッジとは、抜歯などにより歯を失った場合に両隣の残った歯を削り土台とさせ、人工の歯で橋を架けるような形にしたかぶせ物のことです。
1本歯を失った場合、ブリッジは3本組となります。
部分入れ歯とは、歯や歯を支える骨の一部が何らかの原因で失われた場合、その欠損部を補う装置で改善するものです。
1〜2本の歯が無い場合には、両隣りの歯を支えとしてブリッジ等の治療が可能ですが、広範囲にわたって歯を失くしてしまった場合などには部分入れ歯を用いる事が多くなります。
部分的な歯の欠損を放置すると噛む力の低下や歯が倒れたり、顎がズレたりすることがあります。 また、顎関節症や肩こり、偏頭痛といった症状が現れることもあります。
また、入れ歯を作る際は、トータルバランスを考えた入れ歯作りをする必要があります。これを疎かにすると、残っている歯との力のバランスが狂い、噛めないどころか、残っている歯に負担をかけてしまって、最終的にその歯もなくす羽目になりかねません。
当院では、大学病院で18年間、補綴(入れ歯やさし歯など)専門医として勤務した実績から、患者さん個々の要望にあった歯をつくるよう心がけています。
入れ歯を作る際に重要な点は、着けた時に口の中でいかにフィットするか、いかに安定して動かないかという点です。人の口の中というのは非常に敏感で、何か動いたりして異物感を感じたら、無意識的に舌で探ったりしてしまいます。
そこで、総入れ歯で大切なことは食事中はずれたりズレたりしないこと、異物感が少ない、薄くてコンパクト、舌の動きをさまたげないこと等です。
不快感のない入れ歯を作製するためには、顎の筋肉の付着部位や緊張を調べながら噛み合わせの高さや咬合力、上下左右の噛み合わせのバランスを考慮(上顎骨、下顎骨のバランスも含め)して、精密な型を取り作製しなければなりません。患者さんとの十分なコミュニケーションのもと、じっくりとお一人お一人にあった入れ歯をご提案いたします。
現在のお口の状態の型を取って、模型を作り、その上で詳細に診査します。
部分入れ歯の場合は、この段階でどの歯にどのようなバネをかけるか構想を練ります。また実際に入れ歯を製作するための型を取る道具を製作します。
実際に入れ歯を製作するための型を取ります。部分入れ歯の場合は、バネが力を発揮できるように、かみ合わせに障害を起こさないように、バネをかける歯の形態修正をする場合があります。
次に、お口の周囲の筋肉の状態、頬や舌の動く範囲などを見極めて、入れ歯の大きさを決定し、最終的な型を取ります。この段階で、入れ歯の大きさが適正でないと、出来上がった入れ歯が、外れやすかったり痛みが出やすかったり違和感が大きかったりします。したがってかなり精密な型を取ります。
かみ合わせを取ります。入れ歯製作で最も重要な操作で、入れ歯の出来を左右します。
今まで痛みがなかなか取れない、入れ歯が外れやすい、入れ歯が動くなどの症状は、かみ合わせがズレている場合があります。
特に今、ご使用中の入れ歯が合わなくて、噛み癖の強い場合は、無意識的にずらして噛んでいる場合が多いです。それを見極めないと調子の良い入れ歯は出来ません。
歯を並べて、チェックをします。
かみ合わせが合っているか、前歯がお顔と調和しているか、かみ合わせの高さが適正かなどを確認します。ズレがあった場合はこの段階で修正をします。
入れ歯が完成しました。
患者さん個人の噛み方や、入れ歯のアタリを調整します。部分入れ歯の場合は、バネの強さなども調整し、快適な食生活が送れるようにします。
歯は食べ物を咬むのに欠かせない器官ですが、歯の役割はそれだけではなく、食物の味わいや発話にも重要なものです。
一本くらいなくても困らないのは失ってしまった当初だけで、時間が経つにつれ口内の大規模な治療が必要になってくこともあります。歯一本一本で全体を構成しているので、失ってしまった歯は適切な形で補う必要があります。
当院の院長は補綴専門医のみならず指導医の資格も所持し、大学病院にて18年間勤務した実績を元に、患者様に最善の補綴治療を提供します。